綺麗な自然も日本の伝統も残したい。農業とアパレルを両立する私の友達にインタビュー
2022年の4月に徳島で出会ったらいくんとは、今でも連絡を取り合う仲だ。徳島で1ヶ月くらい一緒に過ごすと、ナイスガイな面がどんどん出てくる。
今月、らいくんのアパレルブランドPiece Worldから2年ぶりに新しいアイテムが多くリリースされる予定だ。それに向けて少しずつ準備してきた彼に新しいアイテムへのこだわりや、彼が大切にしている自然への思いなどを聞いた。
彼と話していると感じる、心地いい自然との向き合う姿勢やフィーリングを大事にしてる雰囲気が、私にとってすごく魅力的だ。
私はインタビュー記事を書くときはいつも、事前に質問リストを作ってそれに添って話を聴きながら録音して記事を作っているんだけど、この記事はらいくん電話でおしゃべりしながら作った初めての記事。
いつもと違う雰囲気もぜひ楽しんでくださーーい!
らいくん(松島・コーマン・頼)
1997年生まれ。日本とインドネシアのミックス。幼少期はインドネシアのバリ島で育ち、小学生の頃から大学を卒業するまで東京で過ごす。現在は友達と徳島に移住し、地方を活性化させる取り組みや農業、アパレルなどしながらチルライフを送っている。
Instagram:@matsushima_farm_888
Piece World
“ピースな世界を”という想いから生まれたブランド。
環境に寄り添ったサステイナブルなアパレルからスタートし、現在はそれに加えて日本の伝統文化などからもインスピレーションを受けたアイテムを展開する。
それぞれのアイテムが独自のストーリーを持ち合わせ、素材も着心地とサステナビリティと伝統をバランス良くミックス。
日本の伝統文化も自然も永く続いてほしい。そんな思いが、アイテムに落とし込み表現されている。
ちーーなみに、私が作ったZINEの表紙で私が着ているTシャツはPiece Worldのもの!可愛いでしょっ;)
この前出したZINEの表紙!
https://hinalikesherself.com/zine/
東京で育ってきて、農業は身近じゃなかったし興味もなかった。
ーらいくんは自然がすごく好きだよね、農業はいい感じ?
今は農業が好き。もともと自然が好きで、綺麗なところに行くのも好きなの。
自然を相手にするお仕事って素晴らしいって思う。第一次産業ってアツいじゃん。
農業とか林業みたいな第一次産業って舐めらていたり、下に見られる傾向があったり、若者がやらない、やりたがらない職業のひとつだと思う。。
農業のイメージって正直あんまりよくなかった。っていうか全然知らないし興味もなかった。
でも、実際に農業をやり始めてからは第一次産業を舐めちゃダメだって思ったし、かっこいい仕事だと感じるようになった。みんなが食べるものを作ってるのはすごいことだと思っていて、この仕事がなかったら人々が生きていけない大事な仕事なんだよ。
実際に農業をしていて感じる農業のいいところは、美味しいものを食べられるところ。一番新鮮な状態の野菜ってすごいんだよ。最近だと、とれたての新玉ねぎ、ビビるくらい甘いの。
ー私も初めて農業の体験を徳島でしてみて、農業ってすごく考えることが多くて綿密な計画も必要ですごく難しそうだと感じたんだ。
本当にそうだと思う。農業を始めて2年目になるけど、毎日学び続けてると感じる。相手が自然だから、いつも同じやり方だとうまくいかなくて、試行錯誤しながら自分が学ぶしかない。
育て方も野菜や品種によって特性・個性が異なるし、環境、例えば土とかも水はけが微妙だから畝立てよう、みたいに全部考えてそれぞれに合う方法を探す必要がある。それに、自然は待ってくれないから付きっきりで寄り添わなきゃいけない。
こだわりの詰まったアパレルブランドPiece Worldの立ち上げ
ーらいくんが作る服はオーガニック100%だったり、らいくんが気に入る素材がなかなか見つからなくて新しいアイテム作りも進みづらかった印象がある。そんならいくんがこだわり抜いているアイテムばかりのブランド、Piece Worldを始めたきっかけを教えてっ!
立ち上げたのはコロナの時だった。最初は俺のブランドで笑顔になってくれる人がいいなあ、世の中がピースになってくれたらいいなあって思って立ち上げた。
もともと服が好きで、街とか歩いてる時に人の服をよく見るし、「あの服いいなあ」とか「あの服欲しいなあ」って思うことがある。
服が好きならいくん。
自分が作った服を誰かが着て、街歩いたり、それを他の誰かが「いいなあ」って思ってくれたら最高だと思って服を作り始めたよ。
きっかけは自分が好きな服だったけど、今は服だけにこだわらずに、スケートボードとかキャンプ用品、灰皿とか、服以外の好きなものもアイテムとして取り扱う予定だよ。
今月リリースされる予定のスケートボード。
徳島でスケボーを教えてくれたのが懐かしい。
ーいいね!今のPiece Worldは、らいくんの好きなものを表現する場所になってるのかな。
この前、いろんなアパレルブランドと繋がれるようなイベントに参加したんだけど、なんか違和感があって。「環境にいいものを作ってる」「サステイナブルファッション」みたいなプロモーションをしているアパレルがたくさんあったの。
でも、「この商品は環境に優しいです」ってPRするってことは、それ以外の商品はそうじゃないかもしれないじゃん。本来、「環境に優しいこと」はPRするポイントじゃなくて当たり前にするべきことだと俺は思う。だから、これからPiece Worldは全てのアイテムが環境に優しいけど、「環境に優しいこと」をアピールしたりそこを売りにしなくてもいいのかもって考えてる。
ーなるほどーーーー。最近はどんなマインドでアイテムを考えてるの!
環境に悪くないものと俺が作りたいもので、葛藤していたことがあったの。
自分が良いと思うものを作りたいけど、それって本当に環境にいいのかなって考えすぎている時があって。
例えば、俺の知り合いの農家さんは喫煙者が多いんだけど、畑でタバコを吸ってそのまま吸い殻を畑に捨てちゃう人が結構いるの。それを近くで見ていて、食べるものを育てる畑に吸い殻を捨てちゃうのは嫌だから灰皿を作って、身近な農家さんに配ってみようかなって思いついたの。でも、その灰皿をプラスチックで作ったら、それって環境に良くないんじゃないのかなって悩んでいた。
友達にそれを相談した時に、「らいが作りたいのがいいものなんじゃない?」って言ってくれた。その意見を聞いて、「環境にいいものだけを作らなきゃ」って縛られるのは俺らしくないのかも、「本当は作りたいけど、それ自体が環境に良くないんじゃないかな」って自分で自分にリミットかけて、やりたいことに素直に向き合えてなかったのかもって気づくことができた
さっきの灰皿の例で言うと、灰皿を作ってみたいって思った元々のきっかけはタバコの吸い殻のポイ捨てが減ったらいいなって感じたことで、自分のその気持ちを大事にして作ってみてもいいのかも。それがダイレクトに環境のためのものじゃないとしても、買う人がおまけで気づいてくれたらいいのかな。
どんどん増える新しい興味と、長く続いて欲しい伝統
ーこれからに向けて、今らいくんが注目しているものがあったら教えてっ!
今、日本の伝統文化がキテる(笑)。
この前久しぶりに浅草に行って、外国人観光客が伝統文化っぽい柄の商品とかをたくさん買ってるのを見た。徳島では、藍染体験のお客さんに外国人観光客がすごく多いって聞く。
今古民家に住んでるけど、徳島に来るまで古民家なんて興味なかったみたいに、日本の伝統文化と言われているものにあまり関心を持ってこなかった。
でも、最近はこういう経験から、昔から日本にあるものがいいと思うようになって、日本の古くからある伝統文化に魅力を感じている。だから、Piece Worldのアイテムでも日本の伝統的なものにスポット当てたくて今はいろんなアイテムを準備中!
特に今注目しているのは「麻柄」と「藍染め」で、両方とも、日本に職人さんがいて成り立っている。最近はそういうものに触れたり関わったりする経験をして、環境も日本の伝統文化も、長く続くものにしたいと思うようになった。
ー環境にプラスで最近は日本の伝統的なものにも刺激されてるんだね。
麻柄って麻の葉っぱをイメージした柄で、子供が健康に育つような願いや、魔除けの意味が込められてるの。もともと日本では麻で作られた服が着られていて、身近なものだったらしい。徳島には「麻」が入っている地名や神社もたくさんあったりしてすごく神秘的。次の新作にも麻を使った服を準備しているよ。
麻からインスピレーションを受けデザインした今月発売予定のTシャツ。
藍染めは今住んでいる徳島の特産物の一つで、最近藍染を実際にしてみたんだけど、超楽しかった。次のPiece Worldの新作にも藍染のTシャツを準備している。藍染の青ってジャパンブルーって言われることもある、日本の伝統的なもので魅力があるのに、過小評価されている気がして、でも俺はかっこいいと思うし世界に通用するものだと思っている。だから、Piece Worldのアイテムとしてどんどん取り入れていこうと考えている。
藍染をしているらいくんの手。タトゥーがキュートだね。
私のお気に入りはピザのタトゥー(笑)。
ー藍染いいね。アイテムのどんなところにこだわってるの?
もうすぐ出る予定の藍染のアイテムは全部俺が手作業で染める予定なの。藍染って、染める時間や染め方で色が全然違うの。それだけじゃなくて、洗濯すると色が馴染んでいくから、その過程も着る人によって変わる世界に一つのアイテムなところがお気に入り。日本の良いものを使って世界からも愛されるブランドにしたい。
藍染のアイテム。ロゴも手作業でプリントしている。
素材もオーガニックコットン100%とこだわり抜かれている。
藍染が楽しいらいくん。
生まれ育ったバリと自然の話
ーらいくんは本当に自然が好きだけど、いつから自然に夢中なの!
生まれてから6年くらいバリ島で育って、普段は海や森に行って自然の中でずっと遊んできてそれが自分にとって当たり前だった。
そのあと東京に引っ越してきて小学校に通い始めたんだけど、自然は感じられないし、型にハマらなきゃいけない、自由がない閉塞感で気が狂いそうだった。
そこから大学卒業するまで東京で過ごしてきたけど改めて、今の徳島での暮らしは自然が身近で自分に合ってると感じる。
休日に都会から海とか山とかに出かける人もいたり、自然が好きな人も少なくないし、人間にとって自然は本来必要なものなんじゃないのかな。
らいくん in バリ島
ーバリに住んでた経験もらいくんの自然への気持ちに影響しているんだね。
数年前にバリに行ったら、バリ島のリゾート化が原因ですごく綺麗だった海が汚くなっていて。
俺が住んでた頃は、いろんな魚が泳いでいたりイルカとかもビーチの方にに来たりしていたのに、今はイルカなんてこないし生き物が住めない環境に変わったと感じた。そういう環境の変化をリアルに体験したから、自然を大事にしなきゃいけないと改めて思うようになった。
自分に家族ができたとき、俺が見ていた美しい自然を知って欲しいし、日本の自然もバリの自然も長く続いて欲しい。俺はインドネシアの血が入っているから、日本だけじゃなくてインドネシアにも貢献できる活動もこれからできたらいいな。
これまで過ごしてきた東京とは違う、徳島での生活
ーらいくんと出会ったのも徳島で、らいくんだけじゃなくてたくさんの素敵な人に私は徳島で出会った。らいくんはもともと東京で育ってきたけど、徳島の生活はどう?
東京と比べて、人の繋がりや優しさをリアルに感じているかな。
例えば最近だと、農業しているときに近所のおじさんたちが話しかけてくれたり、飲み物をくれたり、困ってたら助けてくれたり…。
他にも、居酒屋の店主が家の電気引っ張って来てくれたり、地域の集まりに参加させてもらったり、地域の企業と一緒に玉ねぎの皮を使ったポストカード作ったり。
尊敬できる友達も周りにいて、困ったことがあったら相談できる。
ここでの生活を気に入っているよ。
あとがき
らいくんと出会ったのは、2022年3月の徳島。
当時同じシェアハウスに住んでいて、私と仲良くしてくれた人たちのひとり。
らいくんは何ひとつ覚えてないと思うけど(爆笑)、
私が乗ろうとしていた自転車が壊れていたらその場で直してくれたり、
公園でスケボーを教えてくれたり、
初めてのシェアハウスに慣れていない私が疲れている時に話を聞いてくれたり、
彼が作ったTシャツをくれたり、
らいくんにはたくさん優しくしてもらったし助けられた。
そこまで親しくなかったときから彼がくれた優しさは、もしかしたらピースだったのかも。
仲良くなっていくと、芯の強さや柔軟なマインドとか、そういう優しい以外の素敵なところがたくさん見えてくる。
このインタビューを読んでくれた人が、らいくんのナイスな一面やPiece Worldのお気に入りのアイテムを見つけられたらハピハピよ;)
インタビューを受けてくれてありがとう。@matsushima_farm_888
私が撮った懐かしい写真があったから。
❤️&🧩だね🕊️
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